膝の痛み

膝のしくみ

私たちが立っているためには、膝がしっかり体重を支えていなければなりません。また、座ったり、正座をするときには、膝が十分に曲がらなければできません。このように、私たちが日常的な動作を行うとき、膝関節は、とても重要な働きをしています。その膝関節はどのようなしくみになっているのでしょうか。
一般に膝関節とは、太ももにある大腿骨(だいたいこつ)とお皿より下の部分のすねにある脛骨(けいこつ)を連結している大腿脛骨関節(だいたいけいこつかんせつ)を示します。ここが膝の動きの主役となる部分です。また、俗にお皿と言われている膝蓋骨(しつがいこつ)と大腿骨で構成される膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)もあります。関節の表面は、なめらかで弾力性のある関節軟骨で覆われていて、クッションの役割を果たしています。
そのほか膝関節には、大腿骨と脛骨の適合を良くしたり、関節にかかる圧力を分散させる働きをする半月板(はんげつばん)や、膝関節が前や後ろ、右や左にぐらぐら揺れないように支える役割をする靭帯などがあります。

代表的な膝の疾患

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、関節軟骨が磨耗し、同時に骨が変形し、関節のかみ合わせが悪くなる病気です。関節軟骨は、加齢と共に弾力性が失われ、次第にすり減ってきます。その結果、大腿骨と脛骨が直接ぶつかり合うようになり痛みが生じます。また骨同士がぶつかり合ううちに、骨に骨棘(こつきょく)というトゲ状の突起ができます。膝の周りの筋肉も年齢と共に衰えてきます。その結果膝への負担が増加し変形性膝関節症が進行します。
初期の症状としては、膝のこわばり感がみられます。また、動き始めに痛みが生じますが、この痛みは長く続かず、安静にするとおさまります。また、膝の動きも悪くなり、正座やしゃがみこむなどの動作が困難になってきます。さらに症状が進行すると、運動中に痛みが続くようになります。また、関節が炎症を起こして関節液がたまるようになります。これが「膝に水がたまった状態」です。専門的には関節水腫(かんせつすいしゅ)と言います。正常なとき膝関節の中には1~2ccの関節液しか含まれていませんが、ひどいときには50ccもの関節液がたまって、膝関節がパンパンになることがあります。
重症になると、さらに痛みが激しくなり、歩く時に足を引きずるようにしないと歩けなかったり、杖なしでは歩けなくなることもあります。この段階では、骨の変形が相当進んできますので、外見的にも関節の変形が目立つようになります。関節軟骨は、内側がすり減りやすいので足が次第にO脚となります。

膝半月板損傷(ひざはんげつばんそんしょう) 

大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨を半月板と呼び、膝関節の適合性を良くしたり、衝撃を和らげるクッションの役割をしています。この半月板の一部が損傷した状態を膝半月板損傷と呼びます。主な症状としては、膝に痛みやひっかかりを感じたり、膝の曲げ伸ばしがしづらくなります。
原因としては、サッカー、バスケット、ラグビー、柔道、野球、などのスポーツが主で、過剰な衝撃や必要以上のねじれが加わる時に多く発生します。

代表的なスポーツ外傷

膝の靭帯損傷

膝関節には、立ったり、座ったり、歩いたり、走ったり、あらゆる動作中に関節が前や後ろ、右や左にぐらぐら揺れないように支える役割をする4つの靱帯(前十字靭帯・後十字靭帯、内側側副靭帯・外側側副靭帯)があります。膝の靱帯損傷は、これらの靱帯が傷ついたり、のびてしまったり、切れてしまった状態をいいます。
バスケットボールやバレーボールでジャンプした状態から着地した時に膝を捻ったときによく傷めます。また、サッカ-やラグビー、フットボールなど接触プレーの多い競技では、タックルを受けたときに傷める事があります。
靭帯を傷めた直後はかなり強い痛みと腫れが生じます。応急処置としてRICEを行い、すぐに整形外科を受診し、適切な治療を受けて下さい。