首の痛み

脊椎のしくみ

脊椎は、椎骨という小さな骨がいくつも積み上げられたもので、身体を支えるのに重要な柱の役割をしています。脊椎の首の部分には頸椎という7個の椎骨があります。胸の部分には胸椎という12個の椎骨があり、さらにその下の腰の部分には腰椎という5個の椎骨が積み重ねられています。またそれぞれの椎骨の間には椎間板という軟骨が挟まっており、これは衝撃を和らげるクッションの役目をもっています。また脊椎を横から見るとS字状に曲がっており、頸椎と腰椎は前彎、胸椎は後彎がみられます。この彎曲は脊椎にかかる負担を和らげ、バランスをとる働きをしています。

代表的な頚の疾患

変形性頚椎症(へんけいせいけいついしょう)

40~50歳代以後の人に起こりやすい病気です。この病気は首の骨や関節の老化が原因で起こります。頚椎同士をつなぐ靱帯や関節に長い年月にわたって負荷が加わると、椎間板の変性や、頚椎間にゆるみ(不安定性)が生じます。また頚椎の端の部分に骨のトゲ(骨棘:こつきょく)ができたり、神経の通る孔(あな)が狭くなって神経を圧迫します。症状としては頭痛、めまい、首や肩、また腕から手にかけて痛みやシビレがでます。

頸椎椎間板ヘルニア

30歳から40歳代にかけて比較的多くみられます。原因は頸椎の椎間板(髄核)が後方へとびだし、神経を圧迫することによって起こります。ヘルニアは左右のどちらかに起こることが多く、その場合はその部分を通過する脊髄から枝分かれした神経を圧迫することになります。この神経は主に腕や手の運動と知覚をつかさどっているため、首から片方の腕や手にかけての痛みやシビレを引き起こします。またヘルニアが後ろの真ん中に出て脊髄を圧迫すると、腕や手だけでなく、下半身の痛みやシビレも出てきます。さらに症状が重くなると、歩きにくい、手が使いにくい、あるいは尿が出にくいなどの症状も現れます。首を強く片側へ曲げたり、逆に後ろへそらした時に片方の腕や手に痛みやシビレが出るのが特徴です。

頸部捻挫(けいぶねんざ)

頚部捻挫は、「むちうち症」とも呼ばれます。主には、追突などの交通事故により、首が前方や後方から大きな力をうけて、弓なりにしなるような激しい動きを強いられることによって起こります。首の痛みばかりでなく、時には頭痛、手足のシビレが起こり、また脳しんとうのときのように吐き気やめまい、目の痛みを起こします。一般的には3ヶ月くらいで症状はおちつきます。

頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)

この病気は若い女性に多く、頸から肩、腕にかけての痛みやしびれ、こりなどいろいろな症状を生じる状態を総称して「頸肩腕症候群」と呼びます。長い時間、同じ姿勢で仕事をしているときに症状が出る場合もあります。